リーガルテックを導入すべきか【法務の悩み】

セミナー備忘録

こんばんは。

この間、リーガルテックについてセミナーを受講しました。
皆さま、自車の導入状況はいかがでしょうか。

何かと話題になるリーガルテックですが、どのように導入して、距離を取っていくか、思い悩む法務もいるのではないでしょうか。

かくいう弊社もリーガルテック導入が遅れていますし、それ以前の問題も山積みです。
本日は、私の備忘録としてリーガルテックについて記載させていただきます。

リーガルテックとは


リーガルサービス提供のために活用されるソフトウェアやサービスをリーガルテックといいます。
法務の仕事がなくなるのではないかと話題になっていますが、「必ずしもAIに頼るものではないし、自分の仕事を代わりにやらせるものではない。」という認識が大前提です。

主なリーガルテックは以下の分野かと思います。

  1. ワークフロー構築
  2. 契約書の起案、レビューのサポート
  3. 契約書の締結サポート
  4. 翻訳サポート
  5. 文書管理
  6. 判例法令検索システム
  7. E-ラーニング

以下、各分野のメリット、デメリットを記載し、私の感想を簡潔に記載します。

ワークフロー構築

メリット
 ・紙ベースの郵送で往復2日かかるところを即日対応できる
 ・承認日時や承認者、添付書類が保存できることから記録が正確で紛失がない

デメリット
 ・社内の既存承認経路のすべてに対応できるサービスが必要
 ・その他リーガルテックサービスとの棲み分けや連携ができない場合がある

私見

真っ先に導入したいのはこれですね。
馬鹿にされるかもしれませんが、弊社は紙紙紙です。

幾度となく「どこで止まってるんだ!?」が発生しますが、内部統制上あってはならないことです。
しかし、人間ですからこのようなエラーが起こって当然。

どうしても起こることを解決するのがシステムの良さなので、これから真っ先に導入検討します。
ただし、ワークフローは契約書レビュー等のリーガルテックサービスにもおまけでついていたりします。

その部分だけ、既存のワークフローサービスと連携できるのか、将来性を考えて契約する必要があります。

契約書の起案・修正サポート


メリット
 ・担当者が異なっても画一的に契約書レビューができる
 ・誤字脱字や条文ずれといったうっかりミスを減らすことができる
 ・経験の少ない分野の契約書でもサジェスト機能を使い適切にレビューできる

デメリット
 ・契約書を確認しなくてもよくなるわけではない

私見

リーガルテックの中でもAIが最も進んでいる分野の一つです。
ただし、弊社のような小規模法務部では一番扱いが難しいと思いました。

まず、すべての契約書をAIに判断させても、最終確認をする必要があるので、経験のある法務部員のレビューのほうが早いということもあり得ます。
また、平凡なNDAなどすべての契約書をAIに読ませることによって、かえって無意味な修正やサジェストをすることがあるので、読ませる契約書の基準を作る必要があります。
自社にマッチするまでは、用語統一などこなれていない部分も目立つのではないかと。

その反面、門外漢の契約書については、サジェスト機能で適切な条項を挿入できますし、法令の改正があった場合でも、改正を反映した条項を出せるのは強みです。
これをもとに自社ひな型のリバイスをしても良いです。

細かな点としては、人事部や知財部にも役立つことから共同購入できることもあげられますね。

セミナーを聴いて一番感銘を受けたのは、大規模法務部の場合、経験者の契約書レビューの形をAIに教え込むことで、新人法務部員の契約書レビューを添削して、指導としても使えるという内容でした。

確かに、この点使えると思いますが、弊社は小規模法務なのでした。あしからず。

契約書の締結サポート


メリット
 ・先方、当社どちらにボールがあるのかわかる
 ・PDFファイルや契約書の現物をいきなり送り付けられることが減る
 ・相手が当該リーガルテックを契約していなくても使える

デメリット
 ・先方が使用したがらない場合は使えない
 ・印鑑文化が根強い企業では使えない

私見

印紙代の節約もあり、導入している企業も多いのではないでしょうか。
最大のメリットは、自社だけがサービスを契約していても、取引先との契約締結に使えることです。
これで一気に使用のハードルが下がります。

印鑑がないことで契約の効力が担保できないのではないかという声もありますが、万が一締結について争いになった場合にも(詳細は省きますが)裁判対応のサービスやマニュアル、証拠提出用の技術資料までついているので安心。

ただ、慣れるまでは抵抗のある取引先が多いと思いますので、自社から導入するメリットがあるかといわれれば、印紙代を節約できると気がある程度にとどまるかも…

優れた技術やノウハウがある個人事業主などは積極的に取り入れるほうが、大企業相手との契約においてもスピード感が上がりますし、先方もすでに使用経験がある場合も多いと思いますから、導入検討しても良いと思います。

サービスによってはトライアルがあるので、まずグループ会社内でトライアルしてみるのもありです。

翻訳サポート


メリット
 ・グーグル翻訳よりも精度が高い
 ・グーグル翻訳よりもセキュリティが担保されている

デメリット
 ・内容を確認しなくてよいわけではない 
 ・安易に翻訳をかけると金額が高額となる

私見

翻訳については、全社的に使用する部分なので経費削減的なメリットも目に見えやすく、最も導入しやすいリーガルテックなのではないかと思います。

また、取締役等会社の重役に英語ができない人がいる場合、資料をさらっと翻訳するのに非常に重宝します。
むしろ、これだけために契約している企業もあるのだとか、ないのだとか…

固有名詞や、会社ごとの翻訳の癖をそのまま反映させることは、現状難がありますが、それを考慮してもあまりあるメリットがあると思いました。
導入検討候補です。

文書管理


メリット
 ・ファイル、フォルダごとのアクセス管理やバージョン管理が容易
 ・ものによってはスキャンした書類を自動振り分け保存できる
 ・原紙保管場所の削減ができる

デメリット
 ・基本オンラインストレージなので、つぶれない企業の見極めが大切
 ・すでに部署ごとにある保管システムとの連携を考慮する必要がある

私見

会社サーバー内の共有ファイルにデータを保管することも多いと思いますが、誤って削除したり上書きしてしまうことや、ファイルが重複したりもあり得ます。

文書管理サービスでは、変更前の過去のファイルが呼び出せたり、社内イントラにリンクを張ったりと便利な機能が満載です。

ただし、似たようなサービスが多く、選定が難しいことと、テックベンチャーとの契約においては、オンラインストレージであるためセキュリティレベルの確保と、サービス修了リスクの回避をいかにおこなうか大変そうです。

判例検索システム


メリット
 ・リアルタイムの情報を常に手に入れることができる

デメリット
 ・本当に使うのか

私見

訴訟が多い企業や、業法改正が多い特定業種においては利用価値が高そうですが、逆をいえば訴訟は弁護士、業法については行政書士等に委託することでも対応することができます。

ただ、海外ビジネスが多い企業では、現地の法令や判例もリアルタイムに知ることができるので、国内弁護士では対応できない事象についても知識を得られるのは大きな利点かと思います。

弊社は絶対に使わない。不要。

E-ラーニング


メリット
 ・作成した問題は使いまわしができ、知識の蓄積ができる
 ・人事部等に乗っかって導入できる

デメリット
 ・社員アカウントの管理が結構大変
 ・効果が目に見えるとは限らない

私見

社内教育をする方は、開催場所やテストの方法を考えることに苦労していると思いますが、E-ラーニングシステムを使うことで、遠隔地でも社員の自主的学習が望めます。

また、自社で内容を作成することも、購入した内容を使うことができ、結果的にコンサルを雇うよりも安価で画一的な効果が期待できる場合もあります。

ただし、社員が一堂に会して講習をすることにも一定の意味があるので、内容によって使う物の棲み分けが大切かなと思います。

弊社は今のところ導入しなさそうです。

おわりに

というわけで、本日はリーガルテックについて説明しました。

もちろん、導入しなければならないわけではありませんが、導入して効果が上がれば法務としてのプレゼンスも上がりますし、なにより自分が快適になる強い味方です。

空き時間で法務の活動領域を広げられるかもしれません。
皆様もぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

本日は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。