【法務あるある】イラっとするポイント編

企業法務

法務の仕事をしていれば避けられないことがある。
交通事故みたいなもんだといっても解せない気持ちがある。

社内で愚痴れりゃ万々歳
ほとんどの会社では愚痴れるメンバーすらいないのが法務部の辛いところ。

ということで、本日は法務あるあるとして私が日常イラついているポイントを記載させていただきます。

みんなで愚痴って生きましょうね笑

個人的愚痴TOP5

  • なんでPDFなん?なんで原本なん?
  • なんでccはずしてるん?なんで転送するん?
  • なんで取引内容しらんのん?
  • 「問題ないよね?」はやめてくれ
  • めんどくさいって思わんといてくれ

ありのままの愚痴なので大阪弁で失礼

なんでPDFなん?

言わずもがな
契約書の修正はMicrosoft様のワードファイル上の校閲機能を使ってやり取りされる。
こんな感じで。

本契約および個別契約に関する一切の紛争については、被告の本店所在地を管轄する大阪地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

人によっては以下のようにスミカッコで理由を記載する場合もある。

本契約および個別契約に関する一切の紛争については、被告の本店所在地を管轄する大阪地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。【修正理由】両当事者間の公平のため修正。

また、ワードのコメント機能を使って修正理由をコメント中に記載することもある。
筆者も過去はそうしていたが現在はスミカッコ派に。
コメント機能は便利だが欄外に表示されるので印刷する場合に困る。
ワードの設定によっては選択するまで表示されないこともあるし。

どのように修正するかまた記事にしたいが宗派の争いに発展しそうなのでこの辺でやめておく。

本題に戻って…
上記のようにワードでやり取りするのが慣例なのにどういうことか契約書がPDFで送信されてくる場合がある。

自社営業がPDFにして送ってきた場合は、ワードを要求すればよいが、先方がPDFで送ってきている場合は面倒。
わざわざ自社営業に「先方にワードファイルをもらってください」と依頼しなきゃならない。
営業がめんどくさい感を出しで対応してくることもあり、ブーメランフックをおみまいしたい気持ちに駆られる。

これは100歩譲ってよしとするが、先方が印をついて印紙を貼ってきた契約書を2部送ってくることがある。
龍虎乱舞の刑に処したい。

先方にもなめとんのか?といいたくなるし、営業ももらう時点で交渉もクソもないことに気付いてほしい。

こういう態度をとってくる会社の多くは大企業。
自社のひな型がかわったためー
カンパニー間での分掌がかわりましたー(カンパニー制クソですね)
合併しましたー
だからこれに押印して返してねってそれが通じるかボケ

実際にこれをやられた際は落ち着いて対応しましょう。
慌てて印を押して返してはいけません。
通常通りレビューして、修正必要な部分は覚書にて修正し、セットでなければ押印しない旨伝えましょう。

しょっぱなから愚痴りまくって申し訳ないですが皆さんも経験ありますよね?
くれぐれも自分から他社にこんなことしてはいけませんよ!

なんでCCはずしてるん?

何でも屋になって困ったことに首を突っ込まないと法務の仕事になりません。
法務を頼ってくれるのは非常にありがたい。
でもそれをいいように使う輩がいるのです!

例えば、社内規定を破った内容や、世間のコンプライアンスに反するような事情をこっそり聴いてくる場合には要注意です。
たいがいCCに誰もいれずに相談してきます。また、こちらが上長をCCに入れても、返信ではCCを削除して送信してきます。

おまけに善意で回答したことをそのまま転送して部門内で全展開されるコンボ
ぶっとばすだけでは気が済みませんね。

私は特に下請法関連の質問を受け付けるのですがこれが非常に厄介。
形式的には同法違反になるが実務的には問題になることは十中八九ない場合、ブラックだがグレーになっている部分があったりと、様子を見ながらやってみる部分もぶっちゃけあります。

現場レベルの人にとりあえず違反状態だが現状維持で対策を検討しようとしているのに、それを法的に問題ないと回覧されりゃたまったもんじゃありません。

極レアケースか、弊社のレベルが低いのか定かではありませんが、絶対にCCつけよう。
返信するときも文章は長くなりますが一言「法的問題が一切ないわけではない」ことを口酸っぱく記載しましょう。

こういう方は自分が安心したり、責任を取ってもらうためにメールしてくる嫌いがあります。

自分のみは自分で守りましょう。
こんな仕事をするクソ野郎にはならないでくださいね!

なんで取引内容知らんのん?

商社法務は常に頭にあると思いますが、仕入れと販売の契約関係を整合させることは必須です。
営業担当にも仕入れと販売の商流を考えてそれぞれの取引先を管理することが求められます。

この部分は主に前職での愚痴なんですが、前職はメーカー兼商社でした。
五大商社ならいざしらず、弱小商社であれば営業の質が低いことなんてママあります。

「仕入先との関係でA製品の保証期間はどうなっていますか?」こんな簡単な質問に答えられない営業がいる。
いや、ね。自分で契約書データベースから仕入先を確認して、文面上、仕入れと販売で保証条件を整合させてりゃこんな楽なことはないですよ。

でも、実際の個別契約で保証期間が修正されている場合もありますし、ちゃんと生きた取引をしているのかパット答えてほしいんですよ。

うちの営業さすがやな!って

担当した取引先のことを全然覚えていない、効いても答えられないのは論外だと思います。
そのくせ「お客さんに提出する契約書をさっさと確認しろ」ってどの口で言ってんだよって。

こういう部分で仕入先さんをどれだけ大事にしているのか、営業としての質を確認できるのでイイ面もありますがいかんせんストレスがたまります。

私はそういう営業さんへの仕事は後回しにしていました笑

あ!こんど法務と仕事するうえで営業が気を付けるポイントについて記事にしてみようかな。

問題ないよね?

法的に問題のないことなんてないんだこれが。

もっかい言いますね。
法的に問題のないことなんてありません笑

無資格法務に「これなんかに引っかかる?」って聞いてどないするんやと。
むしろ法曹でもあらゆる分野に精通している人なんていないのに…

こういう取引ですと説明して、
こういう観点で法的リスクはありますか?と質問してほしい。

もちろん、確認できる範囲であらゆる法をチェックしていますが見落としもありますし、知識が浅い部分もあるのです。

聞いて安心したいので or 面倒でとりあえず回答がほしいからこんな質問するんだと思います。安易に「問題ありません」といってはいけません。
奥歯にものが挟まったような回答かもしれませんが「○○法の範囲ではこの点がリスクとなります。」としっかり記載しましょう。

ここ、回りくどい質問をしがちな部分です。
責任を取りたくないので「すべてを調べたわけではありませんが○○法の範囲では問題がないと思慮します。」「法務部の見解としては○○だと思います。」なんて書き方しないでくださいね。

言葉のダイエットしてくださいね。

わかる範囲を端的に書いて、わからないものはわからないと書きましょう。
そこが取引の重要ポイントなら遠慮せずに顧問弁護士を頼りましょう。

だだっぴろい荒野のような質問を、森へと続く一本道に整備する。
それも法務の大切な仕事です。

めんどくさいって思わんといて

みなさん心を痛めているのではないでしょうか。

社内手続きの時間が無いからサッとチェックしてよ。
そういわれても法務はけなげに契約書レビューします。
考えられるリスクを記載します。

私が指摘したリスク、全無視されてるやん。
法務って本当に必要なのか?

こうなって傷つくこともしばしば。
でもあなたはいるだけで意味がある。

意味があるけどより少しでも役立つために社内教育に努めましょう。
法務は座って本読んでメールするだけの部署ではありません。

社内の営業部門、製造部門のコンサルタントのようになる必要があります。
コンサルタントとして必要なのがまず信頼。
丁寧にかかわって迅速に助言する。この積み重ねです。

時間があればメールのやり取りだけでなく会って話しましょう。
若手営業向けに社内研修を行って未来の木を育てましょう。
ウザがられてもやりましょう。
とりあえずメールしてもらえるだけでも勝なんです。

その中に一人「このあいだは研修ありがとうございました。早速ですが契約書チェックしてくれませんか。」といってくれる方が必ず出てきます。
こういうキーパーソンを軸に部門の信頼を得ていきましょう。

最後に

なんか終盤は愚痴というよりも法務の心構えになっちゃった感がありますね笑
皆さんは共感できましたか?
もっと細かいあるあるも持っていますが、マニアックすぎるので小出しにしていきますね。

愚痴ってもいいんで毎日乗り切っていきましょう。
あなたも愚痴りたくなったり不安なこともあると思いますが、私も愚痴りたくなったり不安になったりします。

みんなで共有してゆるーく法務を楽しんでいきましょう。
それでは本日はここまで!