【法務あるある】感激するやり取り編
前回の法務あるあるは思いのほか沢山の方に見ていただけました。
皆さんうっぷんが溜まってるんだな…と思いつつあまりネガティブすぎてもいけないと思いました。
よって、本日はあるあるの中でもポジティブなものを用意しました。
ちょっぴり嬉しくなるものから、感激して握手したくなるものまで様々ですがお付き合いください。
感激リスト
- めっちゃ気が利く印紙の記載
- これはうれしい押印指示
- 少し恥ずかしい誤字修正
- 「断っといたで」心強い営業対応
- とってあったか!議事録参上!
めっちゃ気が利く印紙の記載
「この契約書の印紙はいくらですか?」
冗談抜きで100回以上聞かれた法務の方もいると思う。
印紙税については、以下の記事の通り過怠税の徴収が怖いものの、金額間違えが軽微な場合には「印紙税不納付事実申出書」の記載によって 過怠税 が本来印紙の貼付+印紙の2倍の額の納付となるところが、印紙の1.1倍の額の納付で済みます。
会社によっては、
①判断の時間がもったいない
➁まず問題とならない
③どうせ問題になっても1.1倍で済む
という理由から区分があいまいな契約書には一律200円を貼付し、税調査の際に「金額間違えていました(テヘペロッ)」で済ませるところもあるとか。
実に経済的合理性があるなぁと感心しました。
と脇道にそれましたが、契約書に「印紙を貼る枠」がないと、営業担当者からそもそも契約書に「印紙が必要か」ということ、「その額はいくらか」という二つの疑問が生まれます。
ですが、先方ひな形に以下のような印紙の金額、さらに何号文書かの記載があると「めっちゃ気が利くやん」って言葉がこぼれます。
私の新任時代自社のひな型に枠を設けていませんでしたが、初めて枠を目にしたときは感激しましたね(レベル低すぎ!?)。
早速、枠を設けた経験があります。
まだ基本契約に枠を書いていない諸君、枠を設けたまへ!
(ま、まぁ枠に書いてある額が正しいか怪しい時もありますけどね……)
これはうれしい押印指示
先ほどの印紙額に加え「この契約書、名義人は誰にしますか?」も聞かれること上位に食い込むと思います。
社内規定で明確に記載している会社ならつゆしらず、この辺あんがい定まっていない会社も多いんですよ(愚痴)。
前提として、押印にかかる二段の推定、会社の代表権の問題がありますが、あらゆる契約書に代表社印でのみ押印する会社はないと思います。
また、非常に細かい点で「割印(契印)どこに押しますか?」もあります。
推すのが正式、推すべきですが「ぶっちゃけどうでもいいわ」とさじを投げたくなる…
先方が製本した契約書2部が届き、中に下の画像のような紙が入っていたらココロオドリます。
営業担当者からの質問が来ない!こちらも悩む必要がない!
もちろん、指示が適切なものか考える必要はありますが原則指示に従って問題ありません。
いやー本当に気が利く。握手してハグしたいくらいです。
個人的な感覚ですが、こういう気が利く支持をしてくれる会社はいい法務が多いイメージです。
(ただし、営業担当者を通さずに勝手に契約書2部製本して指示書付きで送り付けてくる大企業、テメーはダメだ。到底飲めない内容の時に印紙貼ってくる場合はブッ飛ばします)
少し恥ずかしい誤字修正
法務だって人間です。
誤字くらいのヒューマンエラーはあります。
ただし、言葉を操る仕事だからこそあってはならないと他業種よりも厳しく言い聞かせるべきですがね(今までの記事にも誤字はあると思う…)。
余談ですが、「リンスのいらないメリット」というCMを覚えていますか?
幼少期このCMに違和感が…
「リンスが要るからリンスインにしてるんやろ!」と言葉の意味について厳格に考える子供でした。
そんな私に「いや、リンスインシャンプー1本で十分。別途「リンス」を買う必要がないという意味だ。」と友人と小学生ながら気持ち悪いやり取りをしていました。
そんな彼は弁護士になっているというね笑
またまた脇道にそれましたが、言葉に厳格な法務でも誤字に気付かぬまま契約書の製本・押印まで至ることがあります。
これを発見しちゃったらめんどくさい……
発見したからには訂正すべきだし、訂正する場合には自社での訂正印押印に加え先方にも依頼しなきゃならない。
なぜ気づいてしまったんだとすら思う瞬間です。
ですが、ごくたまに先方が誤字に気付いて製本前に修正してくれるときがあります。
しかも、ワードの校閲で修正履歴を残さずに、明らかな誤字を黒字でシナーっと訂正してくれている…
私が起案・修正した契約書なのに…
赤で修正されると、上長に「○○君、気がゆるんでるんとちゃう?」ってccに入っている上司に言われることがあるんです…
ほんとに恥ずかしくなるとともに「ありがてぇ、ありがてぇ」と跪いて拝みたくなる。
彼/彼女の気遣いで私の面目が保たれたのだ。
(以前、営業担当者にも○○さん、誤字多くないスか?といわれたからね…)
このようないぶし銀的な仕事がしたい
ただ、契約内容が変わる部分をこっそり黒で訂正することはダメですよ!
「断っといたで」心強い営業対応
営業担当者の中に一部交渉下手な人がいて契約書の訂正を依頼しても先方に意見できず、先方ひな型や修正をそのまま飲んでくることがあります(たぶんどこの会社でもあると思う)。
そんな中、ストロングスタイルな営業がたまーにいます。
「あぁ、この点修正したいけど大企業相手にどうかなぁ」とおそるおそる営業担当者にメールすると…
「その部分、俺もおかしいと思ってたから無理や!って断っといたわ!」
なんて心強い。
というか、契約書の文言と実務との乖離に気付き相手に指摘している。
私、いらないんじゃね?といいたくなるほど優秀です。
そのほか、下請への返品や減額についても
「しようと思ったけど相手下請やからあかんねんな?やめて一旦こっちで在庫持つようにしたわ!」
マジでバレンタインデーにゴディバのチョコ送ろうかなと思う。
一部の非常に優秀な方のおかげで大多数の社員が生活で来ているんだなと。
こういう人を一番大切にサポートしなきゃ法務として失格ですな。
皆さんの会社にも自慢したくなるような営業いますか?
とってあったか!議事録参上!
個別契約の最中に契約条件でもめることがあると思います。
製造業では、特に製品の内容についてもめることが多く、基本契約において抽象的な契約条件しか書かず受発注書面や指示書、仕様書の記載に具体的な記載を行います。
ですから、「どういう製品か」という部分が現場マターになりがちです。
口座開設できたら(契約が取れたら)あとはルーティンで受発注をこなすだけ。
そんな中、「この点はもめそうだ」とあらかじめ予防線を張ってくれる営業や品質の方がいます。
私が経験した例では…
ドアインターホンのカバーの製造を受託していました。
プラスチックで成型するもので、受け側とはめ込み側でモナカのような構造になっており、はめ込み側の詰めが受け側に刺さって固定されます。
重要なのは、両側のサイズがあっていること、受け側の爪受けとはめ込み側の爪強度
ここがしっかりしていれば一応の製品になるわけです。
品質部門が先方指示に適用にハイハイ言っていれば知らぬ間に過剰品質を求められたりします。
はめ込み側の裏面は外部から見えないので多少の汚れやバリがあっても問題ないのに裏面の汚れでクレームを出されたりとか。
当例でも案の定、裏側の汚れでクレームになりました。
そのとき、品質部門の長老が「裏面バリ汚れ問題なしっていったやろ、議事録あるぞ(両社押印済)」
もうしびれましたね。
わかっている人はきっちり作成していますね。
おかげで命拾いしました。
契約の締結はイージーですが、現場マターな部分が多いため製造業界では実行力のある契約締結ができていない実情があります。
頼れるのは現場の人、営業の人なんです。
日ごろから「議事録とってください、メールで残してください」のコミュニケーションができていればこういう形でかえってきます。
自分の仕事のやりがいを覚えた瞬間でした。
最後に
といろいろ記載しましたが、ポジティブであれネガティブであれ、あるあるネタは尽きないですねえ
多職種に比べ絶対数が少ない法務だからこそ、ヒト・モノ・カネを握っていないから弱い法務だからこそ、溜まったものがあるはずです。
こんな感じで今後もガス抜きできたらなと思います。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました!