契約書は必要?受注書との違いは?
4月に入り人事異動で法務デビューする方、おめでとうございます。
法務にとって民法・商法の知識は必要不可欠、基礎なくして仕事はできません。
ですが、法律の基本書を読んでも企業法務の基礎知識が載っていないことがあります。
法律知識以外のベーシックな部分で悩んでいるという新任法務の声をよく聞きます。
中堅法務の方も振り返ってみるとベーシックな部分の理解がないまま業務に励んでいることもあるんじゃないかな?
ということで今回は契約と契約書のベーシックな知識について記載します。
ゆるく学べる当サイトのコンセプトをいかんなく発揮して細かい点は省略していきますね笑
不安を解決したい新任の方!
共に理解を深めていきましょう!
なぜ契約書が必要なのか
契約は当事者間の「申込」と「承諾」の意思表示の合致により成立します。
それではどうして契約書を作成するのでしょう?
突然ですが皆さんはスマホをもっていますか?
持っている方、解約時の違約金の支払い条件や、解約月の携帯料金がどのように算定されるか覚えていますか?
覚えていないですよね?
契約とは上述の通り「申込」と「承諾」の合致で成立することから書面によらず口頭でも締結することができます。
(というか口頭であることが原則です。)
口頭で締結した契約において契約内容を覚えることはできないでしょうし、取引中に問題が起こった際、言った言わないの水掛け論になってしまいます。
だから契約を締結したことおよび契約内容を証明するために契約書の作成・取り交わしが必要なのです。
ちなみに、契約を証明するのが契約書ですが、契約書があれば契約書通りの契約があったと裁判上認められやすいです。
よって、契約書には実際の契約内容に即した条項を記載するようにしましょう。
このように、契約書は裁判上の証拠となります。
また、契約書を作成する過程で取引条件について交渉することから契約条件の明確化、不利な条項の事前排除なども図ることができます。
隠れた点ですが、人は口約束ならOKする内容でも契約書に押印するとなると心理的なプレッシャーを感じます。
法人間でも同様で、契約書を取り交わすことで履行を心理的に促しやすいという効果も少なからずあります。
(逆に適当な契約条項だったり、虚礼虚文だと適当にしても大丈夫だと取られかねません)
製造現場(製造業界)では
実際の製造現場では契約書を作成する前に案件が進んでいることがあります。
「え?もう物は入ってますよ?」何度聞いたか…この怖い言葉を…
というのは置いといて。
この場合、あとから契約書を作成しても今後の取引条件が明確になるため意味があります。
ただし、この場合は
「取引開始時(具体的な日付)から契約を有効とする」と契約書に記載しないと、契約書の取り交わし前の取引について条件が不明確となってしまいます。
先方の担当者が変わって新任が取引を見直した場合や取引にトラブルが生じた場合、上記の記載がないと当時は両当事者合意の行為であったとしても、客観的には作成した契約書からみると作成前の行為が契約違反の取引に見えてしまうリスクがあります。
まぁ実際ほとんど問題になりませんがリスクがあることは認識しておくべきです。
契約書と受注書の違いは?
営業担当者がよく疑問に感じる部分として契約書と受注書の違いがあります。
契約書は契約の事実、すなわち当事者の申込・承諾の内容が記載されています。
これに対して発注書(注文書)には契約の「申込」内容、受注書(受書)には発注書の内容に対する「承諾」が記載されています。
受発注書面が組み合わされば、申込・承諾があったこととその内容が証明できます。
よって、契約書と受発注書は裁判上の証拠となる点で同じ効力があります。
ただし、受発注書面には契約書と違い最低限の取引条件しか記載されていないことがほとんどですが…
ですから製造業界においては個別の受発注すべてに適用される基本的な条件をまとめた「基本契約」を締結して、具体的で最小限度の内容のみ受注書に記載するんです。
まとめ
簡潔に
契約書は契約締結の事実と契約内容を事後的に証明するために作成する
契約書と受発注書は、契約を証明できるという点において同じ効力がある。
基本契約については以下が参考記事となります。
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それではこの辺で終了します。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました!