法務が面白くない理由

企業法務

法務クラスタの皆さんこんにちは。

ネット社会は匿名であるが故、ネガティブな記事や書き込みも見受けられます。
私自身も愚痴を記事にすることもあるし。
自分のテンションを保つため多くはスルーするのですが見過ごせないものがありました。

ふと法務関連のキーワードでネットサーフィンしてるとGoogleのサジェスト機能で、「法務 面白くない」と表示されました。

うーん……
面白味があると思っている法務。
出てきた記事を片っ端から読んでみました。

まぁそういわれると思い当たる節もあるなと。

そこで本日はなぜ「法務 面白くない」と検索する方が多くいるのか考えてみました。
完全なる私見なので話半分でお付き合いください。

面白くない理由リスト

ぱっと思いついた理由は以下の4点

  • 会社の扱っている事業・商品に問題がある
  • 法務組織に問題がある
  • 業務内容に問題がある
  • そもそも問題がある

順に説明していきまっせ

会社の扱っている事業に問題がある

法務は事業内容・事業で取り扱う商品の把握が何よりも大切です。
その中に取引上のリーガルリスクが隠れているんで。

でも事業や商品が好きになれない、興味がないとなればつまらないと感じるに違いない。
「仕事は仕事」で割り切ることができればいいですが人間そんなに単純じゃありません。

なぜ興味がないのか細かく分析すると「コトバ」がわからないからです。
人って他人に自分と共通点を探すときよく趣味の話をしますよね?
例えば、時計なら「メカニカルかクォーツか」、バイクなら「狭角Vツインかインライン4か」、靴なら「グッドイヤーかノルヴェイジャンか」などなど。

知っている人しか使わない、その業界ならではのコトバがあるはず。

この「コトバ」がわからなければ何を言っているのか理解できず頭に入ってこない。
自分で勉強して「コトバ」を習得すればよいですが、30年や40年生きてきて知らない「コトバ」があるということは、自分に不要だと切り捨ててきた分野に身を置いているということ。
そう簡単には習得できないんですな。

この理由で法務がつまらないと感じているのであれば「コトバ」の習得まで努力してインプットするか転職するかしかないかと。

興味がないのに割り切りができる人は本当にすごい。
私なら無理です。だって、何時間何十年も興味ないものに囲まれたくないから…

というわけで、 そもそも入社する前から興味がないけど割り切り無理だったというあなた。
法務として他業界に転職検討ですね!笑(そんな簡単じゃない…)

法務組織に問題がある

サラリーマンの方で一匹狼で仕事をしている人はいないんじゃないかな。
必ず組織で働く以上、チームワークが重要になるのは法務にとっても例外ではありません。

やる気のある組織か否かという点が仕事に大きく影響します。
組織にやる気がないけど本人にもない場合はあまり問題になりません。

本人がやる気マンマンなのに法務部のやる気がないと問題が生じます。
やりたい仕事をサポートしてもらえる、共感してもらえることは自己肯定感につながりますから。

契約書チェックであれば上長の最終確認ですべて覆されたり、会社で法律相談サービスの拡充を企画してもめんどくさいことはNOだといわれたり(実体験じゃないですよ笑)、この会社で働く意味があるのか?法務として働く意味があるのか?とイロイロ見失っちゃいます。

組織を活性化できる方法があれば私が教えてほしいくらいですが、あえて言うとすれば現場に働きかけることだと思います。
組織が保守的であれば、自分のお客様である営業や現場の方に顔を知ってもらってください。

間接部門は基本的に小さく周りの評価を気にする部門です。
外にたくさん味方/見方を作りましょう。
そして、「こいつらのために頑張るぜ!」って目標をつくっちゃえばいいんです。


ただ、法務としての経験を積んで知見を広げたい場合は、頑張るための目的意識向上だけではなく、外部のニーズを拾って部をまたいでプレゼン、外部の責任者を加えて行うべきです。
部内では握りつぶされることを少しずつ外部の人間を使って変えていく。

地道な努力ですし居場所が悪くなって功を奏さないかもしれません。
ですが変える甲斐はあると思います。
(そこまでしたくない、それなら現状でいいというなら仕方ないですが…)

まぁどうせつまらないと考えているわけですし、転職前提で当たって砕けてもいいと思います(無責任)。

業務内容に問題がある

この点は2パターンに細分化されます。
「法務の業務範囲に不満がある」のと、「法務以外のこともしなきゃいけない不満」に。

まず後者から。

法務以外のこともしなきゃいけない不満

法務は人材が豊富でもありませんし組織も大きくないことが通常です。
必然的に総務を兼ねたりします。人事総務の方も多いかと。

私は総務広報法務です。
もちろん全部手担当でこなしているわけではありませんが法務だけじゃないことが、却って武器になっています。
法務では見えない新しい景色が見えますし、法務だけやるよりもはるかに人脈ができるし。

ところが聞くところによると法務は法務だけやりたいって方が多いとのこと。
いい意味でゼネラリストよりもプロフェッショナル意識がある、悪い意味でプライドがある。
前職の上司も「そんなものは総務課アシスタントに任せればいい」ってよく言ってたっけ…

それに私、映画で有名な会社グループの某レコード会社に応募したことあるんですが、法務部の仕事が「契約審査」のみでした。
もちろん辞退しましたが応募倍率はすごかったので契約書にかじりつくのが好きな人も多いんだなって思った記憶が笑

したくないことをさせられるのは苦痛ですが得るものもありますよ?
インハウスならともかく無資格法務の方は特に社内熟知がすべてだと思います。
そうであるならば何でもやってみるべきかなと。

この点が不満な方は日本型の企業にいれば常に不満を抱える可能性ありです。
日本型企業の場合はジョブローテーションもありますしいきなり人事異動ということもあるので!

プロフェッショナルとしてとがりたいのであれば、法務が専門職的なポジションとされている会社や外資系に転職してみるとか、いっそのこと予備試験や司法試験の受験を検討してもいいと思いますよ。

「法務しかやらない。ただ法務だけは完ぺきにこなす人材」に自分を変えればいいんです。

法務の業務範囲に不満

このパターンはうーん……

法務って下積みが長い寿司屋みたいな職種です。
必要な前提となる知識の量が多すぎる。
ですから、新人時代につまらないと感じるのは無理もないと思います。

圧倒的に基礎知識のインプットをして先輩の背中を追って経験するしかない。
自分から営業をかけて売上目標立てて新規開拓できるものじゃないですからね。

つまらないと感じる余裕のある新人は能力が高く持て余しているのかもしれません。
ただ、経験を積んでいけば必ず業務を広げる機会が巡ってきます。

人材が少ないのでやらざるを得ないから笑
ですから、経験もそれなりに積んで法務の業務が広がらないって方はきっちりした法務部がある会社の人じゃないかな。

上を見てチャンスを得ている先輩がいるなら自分の能力という刃をよなよな研いで待つことです。
法務組織としてチャンスが巡ってこないほど形式的な部門になっているのであれば社内のジョブローテで手を挙げて職種を変えてみるか、即戦力を求められるベンチャーに行くのもありだと思います。
嫌でも経験が詰めますよ(体験談)。

ただし、安易にベンチャーに飛びつくのはやめておいたほうがいいかと。
寿司職人みたいな職種だからこそ新人時代に法務の作法を指南してくれる先輩や上長の存在が大事だからね。

以下のリンクにあるように、それが顧問弁護士やインハウスの方かもしれません。
それにしてもこのおっちゃん、ダンディーやな…
https://www.businesslawyers.jp/articles/731

なぜ師匠的な人材が大事かというと、営業や現場との距離感、依頼から回答までの型、情報収集方法について学べるからです。
また何よりも法務が少ない時代から磨いてきた経験やエッセンスを師匠から一子相伝的に学べることがでかい。

その会社、業界で沢山経験を積んできたから気づく点や注意すべき点があります。
これは独学や基本書からは読み取れない、場合によっては弁護士でも知らないことがあるわけです。

そんなこんなで、師匠がいるなら「果報は寝て待て」、いなければきっちりとした型を学べてチャンスの多そうな会社を見つけようってことですね。

そもそも問題があるパターン

これは個人的にもずっと自問自答していますが、
そもそも自分って法務をやりたいのか?
ということ。

向いているのかと言い換えてもいいと思います。

やりたいことやってなきゃそりゃ不満ですよね。
特にロースクール卒業生で司法試験に受からず法務になった弁護士崩れの方、「自分にはこれしかできない」とおもって法務に就職したのではないですか?
周りの人間からすると社会人経験が浅く収入も低くなる。そんな中、法務にだけまともな就職先があった、そうなのでは?
(弁護士崩れってとこにイラっと来る方はプライド高めです。注意しましょう。)

私も正直、そんな感じで法務になった一人です(いずれ夢破れてから法務になるまでの道のりを記事にしたい)。

ですが、固執しすぎると大切なチャンスを逃してしまうかもしれません。
私も他職種への挑戦は常に描いています(実行していませんし家庭のある今は難しいかもですが)。

私の友人で、司法試験断念後カメラマンになった友人がいて、彼の持つ輝きに心底うらやましいと思うことがある。
だらだら法務をしていることに問題あるんじゃないかって。

厳密にいうと法務がつまらないのではなく、すべき挑戦をしていない現状につまらなさを感じているのかもしれません。

ただ、ある程度の収入と安定があるバックボーンは強い武器です。
時間を有効活用して副業するなり、情報収集して法務から脱出するのも手です。

働いている中で法務の良さに気付くかもしれませんし、他職種になる際にも武器になるはずです。

私は副業がてらブログを始めて、法務の良さに改めて気づくことができました。
それと同時に他の道を探す心の余裕も持てました。

皆さんも法務に向いているか、他に向いている職種があるのではないか疑問を持ちつつでもいいんです。
具体的に何かアクションを起こしましょう。法務月がつまらないと感じる現状をいきなり変えることはできませんが、何か解決の糸口が見えるかもしれないよ!

追記【2020/05/23】

まだまだあったよ面白くないパターンが笑

ということでツイッターで受けたコメントをもとに追記します。

自分の頑張りと社会貢献との繋がりが見えない

ですね。本当にそうですね。
特にB to B 企業であれば一般顧客の顔が見えないことから社会貢献をダイレクトに感じない。
ましてや、法務が営業からの依頼を受けて書面作成するだけの事務作業する部門に成り下がっている場合にはなおさらです。

契約書を作成したところで、人と一切対面しないこともありますから「だから何?」といった感じになるのも無理ありません。

法務をもっとアクティブにする、具体的に言うと営業にくっついて交渉の場面に臨むといったコンサルタント的な立場に役割を広げることで、事業の出発からエンドまでを見ることができ、一つの事業が成功した実感を通じて社会貢献を感じることができるでしょう。

また、例え事務作業が多い法務職であったとしても社内の人がお客様なわけだから営業の人を通じて「助かったよありがとう」、「あの取引○○のおかげでやり遂げたよ、次は△△の案件あるから頼むよ!」といったやり取りが生まれれば、社会貢献感や自己肯定感につながりますね。

難しいところですが、やりがいや社会貢献、自己実現的なところは外部よりも内なるものだと痛感します。

外に出る機会が少ない

法務の方、太ってきてませんか?笑

営業は外に出るのが当たりまえなことはさておき、間接部門の中でも人事や経理と違い法務は圧倒的に外に出る機会が少ない。

下手したら一生出ない人もいるレベルです。
何かにつけてセミナーの予定を入れたり税務署や法務局へ行くことで外出の機会を作っている方も多いと思います。

外に出る機会がない=同じ日常で刺激がないことにもなりますし、顔を合わせる人も固定化されます。

そのうち社内の人間関係にひずみができて愚痴を聞く or いう羽目になることもあると思うので外に出る機会が少ないことは割と根が深い問題だと認識しています。

余裕があれば業界団体に参加する、もちろんアウトプットや共有は必要ですがセミナーに積極的に参加することをお勧めします。

外に出られない場合は、とにかく外部とのかかわりを持つ。
オンラインサロンでもツイッターでも私のサイトのようなまがい物でもいいので、外部の人とつながる・外部の情報を得ることが大切です。

総務や人事兼任という方でこの点悩む人は少ないと思いますが、法務専業の方はぜひ理由をつけまくって外に出てください。
つまらなくなって腐るよりも、理由をつけて外に出ることを仕事にするくらいの感覚で頑張ってください。

最後に

書いてみれ名書いてみるほど法務が素晴らしいのか、面白くないのか自分でもわからなくなってきたし、転職勧めるオジサンになっちゃってますね笑

ただ、面白くないというのは一時の感情です。
そう感じていても仕事がうまくいくときはうれしいもんです。

つまらないと感じる現状は裏返せばつならなさを解決できれば楽しくなるということです。
好きの反対は無関心といったもの。面白くないなりに日常を楽しむTipを見つけてより良い法務Lifeを送ってほしい。

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同じ道を歩むものとして共に頑張っていきましょう!
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。