契約書と住所の関係【本店でなければ無効?】
こんばんは。
少し前の記事で、契約書と押印の関係を説明しました。
「押印がなければ契約って無効なんスか?」
これと同じくらい聞かれる内容として、「契約書に記載する住所ってどうすればいいんですか?」があります。
勝手に事業所の住所で契約書いてたりとかね…
バイクに乗っていて「それ何CC?」って聞かれるくらい頻繁にあります。
そこで本日は、契約書と住所の関係について記載します。
以前の記事はコチラ
もしかして無効!?押捺と契約書の関係!
契約書と住所について
そもそも、契約書になぜ住所を記載しなければいけないのでしょうか?
別に、契約書に住所を記載することをもって、契約を有効とする、といった条文はありません。
(通常の契約範囲では)
よって、基本的に契約書の住所によって契約書が無効となることはありません。
結局、契約書に住所の記載が必要なのは、契約の当事者を特定するためです。
法人においては、本店が登記されるので基本的には登記された本店所在地を住所として記載することとなります。
同じ住所で、同じ法人名を登記することはできません。
よって、法人名と登記上の本店所在地を記載することで、問題なく契約の相手方を特定できるわけです。
逆に、住所を登記されていない場所としてしまうと、同じ住所に同名の会社が存在する場合もありますし、契約当事者の特定においてリスクが生じることとなります。(まぁまず問題ないですが)
それなのに、なぜリスクのある本店以外の住所で契約書を記載する例が後を絶たないのでしょうか?
本店所在地以外を記載する理由
1.勝手に現場が記載しているパターン
これはどうしようもありませんが、ありえることです。
もちろん、押印申請時や契約書の製本時に気づくことができるように、必ず住所の記載まで法務が確認できるよう統制をとれていることが望ましいですが……
単体で取り上げて本ができるくらい深いトピックだと思います。
どこまで法務がチェックしてどこまで手続するのかね…ですからこの点は割愛します。
貴社ではどうですか?現場が勝手にパターンを経験したことがあるでしょうか?
2.契約書管理上の理由があるパターン
現場で購入する備品や、事業所ごとのISO監査の契約、作業員の派遣契約、機器の保守契約等は、事業所監査等、管理の観点からも契約書住所を事業所の住所として、事業所限りで契約書を管理することも多いようです。
3.誤記やその後の変更パターン
これはあってはならない理由ですが、誤記や住所変更を放置していて、登記された本店所在地と契約書の住所が異なるパターンです。
契約書の締結後管理ができていない場合にしばしば起こり得る問題です。
上記の3パターンありますが、これらの場合、ほとんどというか、99%は問題になりません。契約の相手方が特定できなかったり、そこでもめることがないからね。
ただし、3のパターンでは、いい加減な会社だなと思われますし、契約条項で「住所等の変更に際して相手方に通知する」内容になっている場合には、債務不履行ですからリーガルリスクがあると言わざるをえません。
また、住所変更と会社の合併等が重なっていることもありますし、実務的にどの時代にどこと締結したかよくわからなくなるリスクもあります。
すぐに記載事項を変更できるように、契約書の管理体制を整え、締結先の管理を行う必要があります。
ここがおざなりになっている企業は、契約の有効期間の管理も甘い印象がありますね…
現場では…
これは体感ですが、事業所側の意識として以下のような感じがあるみたいです。
①本店所在地で契約書を記載すると、本店に所属する人を名義人にしなきゃいけない。
➁そうすると、代表取締役しかり役職が高い人を名義に記載することとなる。
③押印手続等の社内手続きが煩雑になるという認識
もちろん、社内の手続きを統制することも大事ですが、こうした事業所の意識ももっともなものです。
ですから、申請しやすいような体制、例えばウェブ上のワークフローを整備し、締結後の契約書もウェブで閲覧できれば事前事後の確認もできるし、現場の人間にもやさしいシステムになります。
当社もまだまだの部分ですので、頑張って進めていかなければ……
ということで、契約書と住所の関係でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。